お金の使い方が上手な人は、使う先を増やしません。使わない先を決めています。
高校時代、私の月のお小遣いは3000円でした。当時のレコードやCDも1枚およそ3000円。つまり、1ヶ月に買えるのはたった1枚だけです。
中学時代までは、部活動に明け暮れる毎日。お金の使い道といえば、小学生の頃の延長で漫画雑誌を買うくらいのごく素朴なものでした。しかし高校生になり、私のお金の使い方は一気に「一点集中型」へと変化します。
この記事の要点
- 高校生になり月のお小遣いは3000円。当時のレコード・CDも1枚約3000円だった
- 買えるのは月に1枚だけ。だからこそ悩み抜いて選んだ
- 3年間、毎朝自分でお弁当を作って昼食代を削った
- 友達とカセットテープを交換し、一人分の出費で複数枚分の音楽体験を得た
- 学んだのは「何にお金を使わないかを自分で決める」ことの強さ
3000円のお小遣いと、3000円のレコード
高校生になり、月のお小遣いは3000円に増えました。一方、当時のLPレコードや、普及し始めたばかりの音楽CDの価格も、1枚およそ3000円。
つまり、1ヶ月のお小遣いで買えるのは、たったの1枚だけ。
この「究極の選択」が、私のお金に対する意識をさらに研ぎ澄ませてくれました。
失敗できないから、真剣に選ぶ
絶対に失敗したくないからこそ、悩み抜いて「これだ!」という1枚を選ぶ。
その1枚を定期テストが終わった自分へのご褒美に決めることで、勉強へのモチベーションも自然と高まっていました。
制約があったから、選ぶ力が育ちました。 何枚でも買えたなら、ここまで真剣に一枚と向き合うことはなかったはずです。
弁当作りは「自分のやりたいこと」を守るため
趣味に全力を出すためには、他で工夫をする必要があります。私は高校3年間、毎朝自分でお弁当を作っていました。
これは単なるお手伝いではなく、限りある家計や自分のお小遣いを、より有効に使うための「自衛」に近い感覚だったかもしれません。外で買えば数百円かかる昼食も、自分で作ればコストを抑えられ、その分、自分の本当に大切にしたいこと(音楽や将来の蓄え)にリソースを回せます。
「必要なものは自分で作る」という第6回でお話しした母の教えが、ここで「お弁当」という形で活かされていました。
カセットテープが繋いだ「共有」の知恵
当時は現代のサブスクリプションのように、定額で何万曲も聴ける時代ではありません。そこで、友達同士で知恵を出し合いました。自分が買ったレコードをカセットテープに録音し、友達が買ったものと交換して聴くのです。
| 支払った金額 | 手に入れた体験 | |
|---|---|---|
| 自分 | 3000円 | 「1」の価値 |
| 友達 | それぞれ3000円 | それぞれ違う「1」 |
| 交換後 | 変わらない | お互いに「2」以上 |
一人では限界があることも、信頼できる仲間と「共有」することで、お金以上の価値を生み出すことができる。これは、現代のコミュニティ投資や情報共有の大切さにも通じる経験でした。
「何にお金を使わないか」を決める強さ
高校時代の私のお財布事情は、決して余裕があったわけではありません。しかし、お弁当を自作して無駄な支出を削り、本当に大好きな音楽に一点集中した3年間は、驚くほど充実していました。
お金を増やす過程では、どうしても「あれもこれも」と欲張ってしまいがちです。
でも、本当に大切なのは「何にお金を使わないか(何を我慢するか)」を自分で決め、残ったエネルギーを「これだ!」と思う場所に注ぎ込むこと。
一点集中でお金を使うための3ステップ
高校時代にやっていたことを、今の言葉に整理すると次の3つになります。
- 「これだけは譲れない」を1つに絞る — 私にとっては音楽でした。2つも3つもあると、どれも中途半端になります
- 削る場所を先に決める — 昼食代を削ると決めたから、音楽に回せました。削り先を決めずに「節約しよう」と思っても続きません
- 仲間と共有できる部分を探す — カセットテープの交換がそうでした。支出を増やさずに得られるものは、意外と身近にあります
前回書いた両親の「削るからこそ、出すべきときに出せる」という姿勢を、高校生の私は自分の財布で実践していたのだと思います。
よくある質問
Q. 節約と趣味は両立できますか?
できます。というより、削る場所があるからこそ趣味に使えます。 私は昼食代を削って音楽に回しました。全体を薄く切り詰めるのではなく、削る先と出す先をはっきり分けるのがコツです。
Q. お小遣いは少ないほうがよいのでしょうか?
少ないほうがよいとは言いませんが、制約があったから選ぶ力が育ったのは確かです。 月に1枚しか買えないから、失敗しないよう悩み抜きました。何でも買える環境では得られない経験だったと思います。
Q. 高校生のお小遣いはいくらが適切ですか?
私は月3000円でした。金額そのものより、本人が「これを買うなら他は諦める」と考えざるを得ない水準かどうかが大切だと思います。判断が発生しない金額では、練習になりません。
Q. 何でも聴けるサブスクの時代に、1枚を選ぶ経験に意味はありますか?
あると思います。選択肢が無限にある今のほうが、何を選ばないかを決める力の価値は上がっています。 対象が音楽から情報や投資先に変わっても、必要な判断は同じです。
まとめ:使わない先を決めるから、集中できる
3000円の重みを知り、工夫して音楽を楽しんだあの頃の経験は、今の私の「規律ある投資スタイル」の原点になっています。
あれもこれもと手を広げないこと。削ると決めた場所は迷わず削ること。その2つができれば、限られたお金でも驚くほど充実した使い方ができます。
次回予告|次回は、両親が私に託してくれた最大の資産の話です。学歴で苦労した二人が、なぜ県外の大学の学費をすべて出してくれたのかについてお話しします。
※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。


コメント