第9回 奨学金なしで大学へ|教育費は人生最初で最大の投資だった

第9回 大学入試 原点と20年の歩み
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20代の貯蓄スピードを決めるのは、収入よりも「背負っているものの有無」です。

私は県外の大学に進学し、4年間の学費と一人暮らしの生活費のすべてを、両親に出してもらいました。奨学金を借りることなく社会に出られたことが、今の私の資産形成においてどれほど大きなアドバンテージになったか、感謝してもしきれません。

これまでの記事で、眼鏡代お小遣いなど、私の成長に合わせて両親がどのようにお金を使ってくれたかをお話ししてきました。今回は、その集大成とも言える「大学進学」と、両親の強い信念についてお伝えします。

この記事の要点

  • 県外の大学の学費・生活費すべてを両親が負担。奨学金は借りていない
  • 父は高卒で就職後、働きながら夜間大学を卒業した苦労人
  • 母は中卒。7人兄弟の家庭で「女の子だから」と高校進学を許されなかった
  • 二人に共通していたのは「子供には好きなだけ勉強させてあげたい」という一点
  • 奨学金の返済がないことは、20代の貯蓄スピードに決定的な差を生んだ

「学びたかった」という両親の消えない想い

なぜ、両親はそれほどまでに私の学費を優先してくれたのか。その理由は、二人の生い立ちにありました。

学歴背景
高卒で就職後、働きながら夜間大学を卒業仕事と学業を両立させる厳しさを身をもって知っていた
中卒7人兄弟の家庭に育ち、「女の子だから」という理由で高校への進学を許されなかった

「本当はもっと勉強したかった」という悔しさは、大人になってからも母の心の中にずっと残っていました。

「子供には、好きなだけ勉強させてあげたい」

そんな二人が私を育てる上で一致していた考えは、たった一つでした。

「自分たちが苦労した分、子供には好きなだけ勉強させてあげよう」

私が県外の大学に行きたいと言ったとき、家計が決して楽ではなかったはずですが、二人は反対するどころか「しっかり学んでおいで」と背中を押してくれました。

眼鏡のレンズを半年ごとに変えてくれた時と同じように、両親は「形に残る物」よりも、「私の中に残る知識や経験」にお金を投じることを選んでくれたのです。

奨学金なしという、親からの「スタートダッシュ」

社会人になったとき、多くの友人が奨学金の返済に追われる姿を目の当たりにしました。

毎月数万円の返済があるかないかは、20代の貯蓄スピードに決定的な差を生みます。

奨学金の返済あり返済なし
20代の手取り毎月数万円が返済に消える全額を自由に配分できる
貯蓄・投資に回せる額返済後の残り生活費を除いた全額
積み立てを始める時期返済に目処がついてから社会人1年目から

私が早い段階から資産運用に関心を持ち、未来のためにお金を回すことができたのは、両親が私の「過去」への負債をゼロにしてくれたからに他なりません。

両親が身を削って準備してくれた教育費は、私にとって「人生最初の、そして最大の投資」でした。

教育費を「投資」として考えるための3つの視点

両親の判断を振り返ると、次の3点に整理できると思います。

  1. 時期をずらせない支出である — 大学進学は「お金が貯まってから」というわけにいきません。必要になる時期が動かせない支出は、逆算して準備するしかありません
  2. 子どもの20代を軽くする効果がある — 学費は本人の将来の可処分所得を左右します。親が出すか本人が借りるかで、社会に出たあとの数年間の意味が変わります
  3. 家計の他の部分で調整する前提で考える — 我が家は手作りと節約が徹底していました。出すべき一点を決めているからこそ、他を削れます

受け取ったバトンを、次の世代へ

両親が私にしてくれたことは、単に「お金を出してくれた」ということではありません。「教育こそが、人生を切り拓くための最強の武器になる」という価値観を授けてくれたのです。

今、私がお金を増やそうと奮闘している大きな理由の一つもここにあります。

「自分も子供に対して、親と同じように、学びたい道を金銭的な理由で諦めさせたくない」。

この強い願いが、私の資産運用の大きな原動力になっています。

よくある質問

Q. 奨学金は借りないほうがよいのですか?

そうは思いません。奨学金があるから進学できるという選択肢は、間違いなく価値のあるものです。ただ、返済が20代の家計に与える影響は事前に把握しておくべきだと感じています。私の友人たちを見ていて、その差の大きさを実感しました。

Q. 教育費はいくら準備すればよいですか?

金額は進路によって大きく変わるため、一概には言えません。それよりも、「いつまでに必要か」を先に確定させることが重要だと考えています。大学進学は時期をずらせない支出なので、逆算した積み立てが効きます。

Q. 家計に余裕がなくても、教育費を優先すべきですか?

我が家は決して楽ではありませんでした。それでも出せたのは、他を徹底的に削っていたからです。すべてに出す必要はありません。何を諦めて何に出すかを、家庭ごとに決めておくことのほうが大切だと思います。

Q. 奨学金の返済は資産形成にどう影響しますか?

毎月数万円の返済は、そのまま貯蓄や積み立てに回せたはずの金額です。金額そのものに加えて、積み立てを始める時期が数年遅れることの影響も小さくありません。早く始めた分だけ、時間を味方につけられます。

まとめ:お金は、次の世代へバトンを渡すためにある

お金は、ただ貯めるためにあるのではありません。

大切な人の可能性を広げ、次の世代へより良いバトンを渡すためにあるのだと、両親の決意を思い出すたびに自分に言い聞かせています。

次回予告次回は連載の最終回です。両親が学費とともに贈ってくれた、もう一つの資産についてお話しします。

※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の金融商品や制度の利用を推奨・否定するものではありません。奨学金の利用については、各制度の条件をご確認のうえご判断ください。

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