第5回「これじゃない」中身の1000円の福袋|お金は「本当に欲しいか」で使う

第5回 福袋 原点と20年の歩み
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「お得だから買う」は、たいてい失敗します。 定価の合計が支払額を上回っていても、欲しくないものが増えるだけだからです。

私がそれを知ったのは、小学校3〜4年生のとき。1ヶ月分のお小遣いをまるごと福袋に投じて、見事に後悔しました。

これまでお年玉を貯金した話祖母との思い出を綴ってきましたが、今回は「失敗」から学んだ大切なお話です。

この記事の要点

  • 小学校3〜4年生で月1000円のお小遣いが始まった
  • 文房具屋の店先にあった1000円の福袋に、1ヶ月分をすべて投じた
  • 中身は定価にすれば1000円超。それでも「これじゃない感」しか残らなかった
  • 以来、今日まで中身の見えない福袋を一度も買っていない
  • 学んだのは「お得かどうか」ではなく「自分が本当に欲しいかどうか」で使うこと

月1000円のお小遣い|誘惑だらけの使い道

小学校3〜4年生の頃、私は月1000円のお小遣いをもらい始めました。当時の私にとって、この1000円は大きな自由。でも同時に、やりくりが試される「魔法の紙」でもありました。

毎月、お小遣いをもらうと使い道はだいたい決まっていました。大好きな少女漫画雑誌を買い、近所の駄菓子屋でお菓子を選び、文房具屋で可愛いペンやメモ帳をいくつか買う。そうすると、月末には財布の中身はきれいに空っぽになります。

そんな私の心を、ある日わしづかみにしたのが、文房具屋の店先に並んだ「1000円の福袋」でした。

1ヶ月分のお小遣いを投じた、大勝負

その福袋は、中身が見えないけれど、ずっしりと重みがありました。

「1000円でこんなにたくさん入っているなんて、絶対にお得だ!」

1ヶ月分のお小遣いと同じ金額。もしこれを買えば、その月は漫画も駄菓子も我慢しなければなりません。しかし、私は迷った末にお小遣いを貯め、ついにその福袋を手にしたのです。

中身は「これじゃない」だった

ドキドキしながら家に帰り、袋を破いて中身を取り出しました。そこに入っていたのは……。

  • 地味な色の下敷き
  • 使い勝手の悪そうな筆箱
  • デザインが微妙な消しゴムやノート

確かに、定価を合計すれば1000円を大きく超えていたでしょう。でも、私の心は全く躍りませんでした。むしろ、「これじゃない感」で胸がいっぱいになったのを覚えています。

支払った金額より多くのものを手に入れたのに、満足度はゼロ。 損得の計算と、満足度は別物なのだと初めて知りました。

福袋が教えてくれた3つの教訓

「数だけはたくさんあるけれど、本当に欲しかったものは一つも入っていない。」このがっかりした経験は、当時の私にとって強烈な教訓となりました。

それ以来、私は今日に至るまで、どんなに魅力的に見えても「中身のわからない福袋」を一切買っていません。

この失敗から学んだのは、「お得かどうか」よりも「自分が本当にそれを欲しいかどうか」でお金を使うことの大切さです。

教訓意味すること
お得という言葉に惑わされない割引率は、欲しさの理由にはならない
量ではなく質で選ぶ安さ(量)で選ぶのではなく、本当に価値があるか(質)で選ぶ
納得感がなければ「高い」納得感のない買い物は、たとえいくらであっても高い買い物

「お得」に惑わされないための3つの問い

あの日の私に足りなかったのは、買う前に立ち止まる問いでした。今なら、次の3つを自分に確認します。

  1. 中身が全部見えていても、同じ値段で買うか — 福袋の魅力は「中身が見えないこと」でした。見えていたら、私は絶対に買っていません
  2. これがなくなったら、買い直すか — 買い直さないものは、はじめから必要なかったものです
  3. 「安いから」以外に理由を言えるか — 理由が値段しかないなら、欲しいのは商品ではなく「得をした感覚」のほうです

賢い投資家は、自分の「価値観」にお金を使う

お金を増やすフェーズに入ると、つい「何%のリターンがあるか」といった損得勘定ばかりが先行してしまいます。しかし、資産形成の根底にあるのは、こうした日々の小さな「お金の使い方」です。

自分にとって価値のないものに1円も払わない。その代わり、本当に必要なもの、自分を成長させてくれるものにはしっかりとお金を払う。

あの時、文房具屋の店先で1000円の福袋にがっかりした経験があったからこそ、今の私は「自分にとっての正解」を見極めてお金を動かせるようになったのだと感じています。

よくある質問

Q. 福袋は買わないほうがよいのですか?

中身や出品者が信頼できるもの、欲しいものが確実に入っていると分かるものであれば、否定はしません。私が避けているのは「中身が見えないこと自体が魅力になっている」タイプです。あの高揚感にお金を払っているのだと気づいてから、買わなくなりました。

Q. 子どものお小遣いはいくらが適切ですか?

私は小学校3〜4年生で月1000円でした。金額そのものより、使い切る経験と、失敗できる余地があることのほうが大切だと思います。少なすぎると選ぶ経験ができず、多すぎると失敗の痛みが残りません。

Q. 子どもに無駄遣いをさせてもよいのでしょうか?

私はさせてよいと考えています。あの福袋の失敗は誰かに説明されて理解したものではなく、自分でがっかりしたからこそ50年近く残りました。小さな金額で失敗できるうちに失敗しておくことには価値があります。

Q. 「お得」に惑わされないコツはありますか?

「中身が全部見えていても、同じ値段で買うか」と自分に聞いてみてください。答えがノーなら、欲しいのは商品ではなく、得をしたという感覚のほうです。

まとめ:納得感のない買い物は、いくらでも「高い」

支払った金額より多くのものを手に入れても、満足できないことがあります。逆に、高くても納得して買ったものは長く大切にできます。

お金の価値を決めるのは値段ではなく、自分の価値観です。 1000円の福袋は、それを教えてくれた授業料だったのだと今では思っています。

次回予告第6回 欲しいものがあるなら作る|消費ではなく創造にお金を使うという贅沢は、「買う」以外の選択肢の話です。実家の向かいの布地屋さんと、母のミシンから生まれた一点ものたちについてお話しします。

※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の商品や金融商品を推奨するものではありません。

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