第24回 元本割れの大暴落から9年|塩漬けと特別分配金の教訓

第24回 投信回復 投資信託いろいろ
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売らなければ、負けは確定しません。 ただしその間、コストと元本は静かに削られ続けます。

第23回 投資デビュー直後にリーマンショックで大暴落!|逆張りの失敗でお話ししたとおり、2008年、リーマンショック直後の暴落時に合計100万円を投じた「野村世界6資産分散投信」。しかし、投資の世界はそう簡単には「夜明け」を見せてくれませんでした。

ここから、私の長きにわたる忍耐の日々が始まりました。

この記事の要点

  • 購入後、基準価額は5年近く元本を割ったまま低迷した
  • 2か月に1回届いたのは、元本を取り崩して払い出される「特別分配金」
  • 2013年頃から相場が回復し、段階的に売却して出口へ
  • 3回の払い戻しを経て、約9年がかりで完結
  • 得た最大の学びは「勧められるまま買わず、自分で理解して選ぶ」こと

2か月に1回の「特別分配金」という現実

購入後、基準価額はしばらく元本を割ったまま低迷しました。

そんな中でも、2か月に1回、分配金だけは届きます。しかし、それは運用益から出る「普通分配金」ではなく、預けた元本を取り崩して払い出される「特別分配金」でした。

普通分配金特別分配金(元本払戻金)
原資運用で得た利益預けた元本の一部
意味増えた分を受け取る自分のお金が戻ってきただけ
税金課税対象非課税(元本の払い戻しのため)

「分配金が出ている=儲かっている」ではありません。 毎回きちんと入金があるので一見安心してしまいますが、実際には自分の元本が少しずつ削られていました。ここを理解していなかったことが、当時の私の弱点でした。

「今売ったら確実に損になる。いつか相場が戻るまで、じっと待つしかない」

私はそう自分に言い聞かせ、資産を動かさない「塩漬け」の状態を続けました。

2013年、ついに訪れた回復の兆し

変化が訪れたのは、購入から約5年が経過した2013年(平成25年)頃でした。アベノミクスなどの影響もあり、相場がようやく活気を取り戻し、評価額が元本を上回り始めたのです。

私は、ここから着実に「出口」を探り始めました。

出口までの記録

時期対象内容
2013年12月分配金受取型評価額が購入時の50万円まで回復。即座に全額を売却
2014年12月分配金再投資型50万円を大きくオーバー。増えた分の18万円だけを払い戻し、利益を確定
2017年分配金再投資型(残り)資産整理のタイミングで46万円ですべて売却

3回の払い戻しを合計すると114万円。投じた100万円を、約9年かけて取り戻したうえで少し上回った計算になります。

2008年の嵐の中で始めた投資は、こうして約9年がかりで幕を閉じました。

暴落が教えてくれた「投資家の資質」

リーマンショック直後の暴落は確かに痛手でしたが、この9年間は私にとって最高の「試練」であり「学び」でした。

学んだこと内容
「相場はいつか回復する」という実体験どんなに激しい暴落でも、持ち続けていれば道が開けることを身をもって知った
狼狽売りをしない精神力評価額が下がっても慌てて売らなかった経験が、その後の大きな自信になった
「特別分配金」の仕組みを理解する元本が削られる痛みを経験し、投資信託の仕組みをより深く知るきっかけになった

ただし、9年という時間そのものがコストだったことも忘れてはいけません。同じ資金を別の場所に置いていたら、という問いは残ります。

「窓口」から「自己責任」の学びへ

この経験を通じて、私は最も大切なことに気づきました。それは、「店頭で勧められるままに買うのではなく、自分で勉強して納得して選ぶことが大切だ」ということです。

郵便局の窓口の方が悪いわけではありません。しかし、自分のお金の行方を他人に委ねるのではなく、コストやリスクを自分の頭で理解した上で判断する。その大切さを痛感しました。

この「いい試練」を乗り越えたことで、私の足取りはより軽く、より確実なものとなり、次なるステージである「ネット証券での本格運用」へと向かっていくことになります。

元本割れに耐えるための3つの心構え

9年間の塩漬けを経験して、支えになったのは次の3つでした。

  1. 確定するまで損は損ではないと知る — 評価額の上下は、売らないかぎり数字の変動にすぎません。慌てて確定させないことが、まず第一でした
  2. 分配金の中身を確認する — 特別分配金は利益ではありません。入金があることを成果と誤解しないだけで、判断の精度は上がります
  3. 戻ったら一度に売らない — 私は3回に分けました。全額を一度に判断しなくてよいと思えるだけで、気持ちがずいぶん楽になります

よくある質問

Q. 特別分配金とは何ですか?

運用の利益ではなく、預けた元本の一部が払い戻されるものです。「元本払戻金」とも呼ばれ、自分のお金が戻ってきているだけなので、その分だけ元本は減ります。利益ではないため課税もされません。

Q. 元本割れしたら売るべきですか、待つべきですか?

私は待ちました。結果として約9年かけて元本を回復しましたが、これは「待てば必ず戻る」ことを意味しません。 保有し続ける間もコストはかかります。私の場合は、待つ余裕のある資金だったことが大きかったと思います。

Q. 「塩漬け」は悪いことなのでしょうか?

一概には言えません。私は結果的に利益を確定できましたが、その間の9年間を別の運用に使えなかったこともまた事実です。塩漬けを選ぶなら、その時間の価値も含めて考える必要があります。

Q. 窓口で勧められた商品を買ってはいけませんか?

そうは思いません。ただ、勧められた理由と、自分が納得した理由は別です。私は「プロが勧めるなら」と判断を委ねてしまいました。コストと仕組みを自分で確認していれば、違う選択もあったはずです。

まとめ:耐えたことより、理解したことが財産になった

9年かけて元本を取り戻したことより、この経験で得た大きな収穫は投資信託の仕組みを自分の頭で理解できたことでした。

特別分配金の意味を知り、コストの重さを知り、そして「自分で選ぶ」という当たり前の姿勢を手に入れる。遠回りでしたが、次の一歩を確かなものにしてくれた9年でした。

※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の金融商品を推奨・否定するものではありません。記載の商品名・金額・分配金の扱いは当時のもので、現在の内容や税制とは異なる場合があります。投資信託は価格変動により元本を割り込む可能性があり、過去の値動きは将来を保証するものではありません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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