中身がほぼ同じなら、安いほうを持てばいい。 それだけの話に気づくのに、少し時間がかかりました。
2017年に資産をSBI証券へ集約したことで、私の投資状況は一目で把握できるようになりました。しかし、全体が見えるようになったからこそ、新たな「無駄」が気になり始めました。
2019年(平成31年/令和元年)、私はさらに運用の効率を高めるため、特定口座の銘柄整理に着手しました。
この記事の要点
- 特定口座に残っていたのは旧「eMAXIS バランス(8資産均等型)」
- つみたてNISAでは、その進化版である「eMAXIS Slim」を積み立てていた
- 中身はほぼ同じなのに、信託報酬は年0.55%と年0.15%(いずれも当時)
- 2019年4月と10月の2回に分けて売却。合計137万円
- 資金はSBIハイブリッド預金へ移し、次の投資機会に備えた
「同じ内容なら、安いほうがいい」という当たり前の結論
整理の対象となったのは、特定口座で保有していた「eMAXIS バランス(8資産均等型)」です。
当時、私は「つみたてNISA」口座で、その進化版ともいえる「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を積み立てていました。
この2つ、中身(投資対象)はほぼ同じですが、決定的な違いがありました。それが「信託報酬(コスト)」です。
| 商品 | 信託報酬(当時) |
|---|---|
| eMAXIS バランス(8資産均等型) | 年0.55%程度 |
| eMAXIS Slim バランス(8資産均等型) | 年0.15%程度 |
※いずれも当時の水準です。信託報酬は引き下げられることがあり、現在の数値とは異なります。
コストの差を、金額にすると
年0.55%と年0.15%。差は0.4%です。
私が保有していた137万円に当てはめると、年間およそ5,480円。10年持ち続ければ、残高が変わらないと仮定しても5万円を超える差になります。
中身が同じなのに、コストが高い方を持ち続ける必要はない。 そう判断し、特定口座分をすべて売却することに決めました。
ただし、売却には課税がある
ここで一つ、正直に書いておきたいことがあります。
第30回で「売却すると利益に課税される」と書いた通り、特定口座での売却には税金がかかります。今回は別の商品へ移すため、移管という手は使えません。
つまりこの判断は、「今すぐ発生する税金」と「持ち続けた場合に払い続けるコスト差」を天秤にかけたものでした。保有期間が長くなるほど、後者が効いてきます。
2段階に分けた売却と整理
一度にすべて動かすのではなく、状況を見ながら2回に分けて売却を進めました。
| 時期 | 売却額 | 内容 |
|---|---|---|
| 2019年4月 | 65万円 | 特定口座の「eMAXIS バランス(8資産均等型)」の一部 |
| 2019年10月 | 72万円 | 残りすべてを売却し、この銘柄の保有を完了 |
| 合計 | 137万円 |
これで、私のポートフォリオから「高コスト版のバランスファンド」が消え、特定口座のスリム化が完了しました。
住信SBIネット銀行「ハイブリッド預金」の活用
売却して得た合計137万円の資金は、そのまま住信SBIネット銀行(現:ドコモSMBTネット銀行)の「SBIハイブリッド預金」へ預け入れました。
この口座はSBI証券とシームレスに連携しており、預けているお金がそのまま証券口座の「買付余力」として反映されます。
- 待機資金の定位置:売却したお金を生活費に混ぜず、「投資用資金」として明確に区分けして保管
- スムーズな再投資:改めて買い付けたい銘柄が出てきた際、銀行から証券へわざわざ振り込む手間なく、即座に購入に回せる状態
第14回で書いた「お金に境界線を引く」という発想が、ここでも生きています。使うお金と、投資を待つお金を、置き場所で分けるというやり方です。
「整理」がもたらした心地よさ
銘柄を整理し、資金の置き場所を最適化したことで、私の投資はさらに洗練されました。
| 得られたもの | 内容 |
|---|---|
| コストの最適化 | 無駄な信託報酬を払うのをやめ、より効率的な「Slimシリーズ」に集約できた |
| 視界のクリア化 | 似たような名前の銘柄が並ぶ混乱がなくなり、管理のストレスがゼロになった |
| 機動力の確保 | ハイブリッド預金に資金を移したことで、次なる投資チャンス(のちの新NISAなど)へ向けた準備が整った |
「増やす」だけでなく「整える」。 この2019年の整理整頓があったからこそ、この後にやってくるコロナショックや、2024年からの新NISAという大きな波にも、冷静に向き合うことができたのだと思います。
銘柄を整理するときの3つの確認
実際にやってみて、判断の要になったことです。
- 中身が本当に同じか確かめる — 名前が似ていても、連動する指数や投資対象が違えば別物です。「同じものの安い版」なのかを先に確認します
- コスト差を金額に、そして年数に置き換える — 私の場合は年5,480円。何年持つつもりかを掛けてはじめて、売却の判断材料になります
- 売却で発生する税金と比べる — 特定口座では利益に課税されます。コスト差が課税額を上回るまでに何年かかるかを見てから決めました
よくある質問
Q. なぜ中身が同じでコストの違うファンドがあるのですか?
より低コストな新シリーズが後から登場しても、既存のシリーズがそのまま残るためです。私の場合は「eMAXIS」と「eMAXIS Slim」がこの関係にありました。古い方を持ち続けていても自動では切り替わりません。
Q. 信託報酬の差はどのくらい影響しますか?
年0.4%の差を137万円に当てはめると、年間およそ5,480円です。保有し続けるかぎり毎年かかるため、期間が長いほど効いてきます。
Q. 乗り換えるべきタイミングはいつですか?
私は「コスト差 × 持ち続ける年数」と「売却時にかかる税金」を比べて判断しました。利益が大きく出ている場合は、売らずに持ち続けたほうがよいこともあります。金額はご自身の状況で計算してみてください。
Q. なぜ一度に売らず、2回に分けたのですか?
まとめて動かすことへの心理的な抵抗があったからです。一度に判断しなくてよいと思えるだけで、決断は軽くなります。 これは第24回 元本割れの大暴落から9年|塩漬けと特別分配金の教訓で段階的に売却したときと同じ考え方でした。
まとめ:増やすだけでなく、整える
この年にやったのは、新しく買うことでも、大きく儲けることでもありません。同じものを安く持ち直し、置き場所を決めただけです。
けれど、その地味な作業が視界をクリアにし、次の波に向き合う準備を整えてくれました。整理は、それ自体が立派な運用の一部だと思っています。
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※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の金融商品や金融機関を推奨するものではありません。記載の商品名・信託報酬・サービス名はいずれも当時のもので、現在の内容とは異なります。特定口座での売却益には課税されます。課税の扱いはご自身の状況によって異なるため、必要に応じて税務の専門家にご確認ください。投資信託は価格変動により元本を割り込む可能性があります。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。


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