第20回 財形貯蓄を28年続けた結果|引き出しにくさが最強の味方

第20回 財形貯蓄 預金いろいろ
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引き出しにくいことは、欠点ではありません。貯蓄においては最大の長所です。

これまでの記事で、ネット銀行証券会社の銀行口座など、自ら動いて「金利」を追い求めるお話をしてきました。

しかし、その一方で、私の資産形成の背骨をずっと支え続けてくれた「静かな仕組み」がありました。それが、社会人ならではの特権、「財形貯蓄」です。

この記事の要点

  • 1997年、月1万円で一般財形を開始。24年間で280万円
  • 2017年、財形年金を月2万円で開始。8年間で230万円
  • 財形の特徴は職場を通さないと引き出せないこと。この面倒くささが資産を守った
  • 財形年金には合計550万円までの利子が非課税という利点がある
  • 2021年と2025年にそれぞれ卒業。次の「増える場所」へ資金を移した

「財形貯蓄」とは|面倒くささが武器になる仕組み

就職して3年目の1997年。「天引き貯金の王道」と言われる財形貯蓄を一度は試してみようと思い、郵便局(現在のゆうちょ銀行)で月1万円の積立を始めました。

財形貯蓄の最大の特徴は、「職場を通じた手続きが必要」という点です。

引き出す際にも職場を経由しなければならないという「面倒くささ」は、実は貯蓄においては最強のメリットになります。

「簡単に引き出せない」という心理的な壁が、知らぬ間にお金を守ってくれました。 2021年に終了するまで、24年間にわたってコツコツと積み上げた結果、気づけば280万円というまとまった資金が手元に残っていました。

第13回で書いた社内預金と同じく、これも「足元の制度」の一つです。天引きで入る前に引かれ、出すときには手間がかかる。 貯蓄装置として、これ以上の設計はなかなかありません。

「非課税」のメリットを狙った財形年金

2017年からは、さらなる老後への備えとして三菱UFJ銀行で「財形年金」の積立も開始しました。

財形年金(および住宅財形)の大きな魅力は、「合計550万円までの利子が非課税」になることです。

「少しでも有利に、かつ確実に」という思いから、こちらは毎月2万円を積み立ててきましたが、ここで私は大きな決断を下すことになります。

28年間の記録

一般財形財形年金
期間1997〜2021年(24年2017〜2025年(8年
預け先郵便局(現:ゆうちょ銀行)三菱UFJ銀行
毎月の積立1万円2万円
到達額280万円230万円
卒業後の行き先定期貯金として守りの資金に将来の投資用資金としてスタンバイ

王道を卒業し、より「増える場所」へ

24年続けた一般財形を2021年に、そして8年続けた財形年金の積立を2025年に終了しました。その理由は、時代の変化とともに私の運用方針が進化したからです。

  • 一般財形の卒業:より老後資金に特化した「財形年金」へ重点を置くため
  • 財形年金の卒業:昨今の投資リターンと比較した際、預金利息の低さが気になり始めたため

24年かけて積み上げた一般財形の280万円は、そのまま定期貯金として守りの資金に。そして、8年間で積み上げた財形年金の230万円は、将来の投資用資金としてスタンバイさせることにしました。

卒業は失敗ではありません。 第17回で積立額を上下させたのと同じで、状況が変われば仕組みも変えてよいのです。

「不自由さ」を味方につける、初心者への教え

財形貯蓄は、今の低金利時代においては「増やす」ためのツールとしては少し物足りないかもしれません。

しかし、私が四半世紀にわたって実感したのは、「仕組み化してしまえば、意思の力はいらない」という真実です。

職場のデスクで書類を書き、会社を通じて積み立てる。その「少しの手間」が、数十年後に数百万円という大きな果実となって返ってきました。

これから資産形成を始める方にとって、いつでも引き出せるネット銀行だけでなく、あえて「引き出すのが面倒な」財形貯蓄を最初の土台にするのは、非常に賢い戦略です。

王道をしっかり歩んだからこそ、私は自信を持って次の「投資」というステップへ進むことができました。

これから始める人へ、財形貯蓄の使いどころ3つ

28年使ってきて、向いている場面ははっきりしていると感じます。

  1. 「貯まらない」と悩んでいる人の最初の1本に — 意思の力を試される場面がありません。引き出しにくさを、あえて選ぶという発想です
  2. 絶対に手をつけたくない資金を置く場所として — 私の場合は老後資金でした。目的が遠いほど、この不自由さが効きます
  3. 投資と並行させる土台として — 増やす部分は別に持ち、崩さない部分を財形が守る。この役割分担が長く続ける秘訣でした

よくある質問

Q. 財形貯蓄とはどのような制度ですか?

勤務先を通じて給与から天引きで積み立てる制度です。一般財形のほか、住宅財形、財形年金といった種類があります。引き出す際にも職場を経由する必要があるため、簡単には手をつけられません。

Q. 財形年金の非課税とはどういうことですか?

財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄について、一定の限度額まで利子等が非課税になる仕組みです。私が積み立てていた際の案内では合計550万円まででした。制度の詳細や限度額は種類・契約形態によって異なるため、勤務先や金融機関にご確認ください。

Q. 財形貯蓄はやめてもよいのでしょうか?

私は24年続けた一般財形を2021年に、財形年金を2025年に終了しました。運用方針が変われば、預け先を変えるのは自然なことです。積み上がった資金は残るので、やめたからといって成果が消えるわけではありません。

Q. ネット銀行があるのに、あえて財形を使う意味はありますか?

あります。ネット銀行は便利ですが、便利ということは引き出しやすいということでもあります。手をつけたくない資金には、あえて不便な置き場所を選ぶ価値があります。

まとめ:不便だから、28年続いた

金利が高かったから続いたのではありません。手続きが面倒で、簡単に引き出せなかったから続いたのです。

その不便さが28年かけて残してくれた資金は、いま守りの現金と、次の投資への準備金になっています。

次回予告次回は、うまくいった話ばかりではないという告白です。1ドル87円のときに100万円を投じた外貨預金、私の黒歴史についてお届けします。

※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の制度や金融商品を推奨するものではありません。財形貯蓄の種類・非課税限度額・利用条件は制度改正や勤務先の規程によって異なります。利用にあたっては勤務先または金融機関にご確認ください。

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