資産運用の第一歩は、投資商品を選ぶことではありません。口座の数字を見つめることです。
大学を卒業し、いよいよ社会人として働き始めた1年目。私の手元には、人生で初めて「自分の労働の対価」としてのお金が届けられました。
当時の初任給は、手取りで16万円ほど。今振り返れば決して多い額ではありませんが、自分の名前が書かれた給与明細を手にし、銀行口座に数字が刻まれた瞬間の震えるような喜びは、今でも忘れられません。
この記事の要点
- 初任給は手取り16万円。最初の使い道は両親と姉へのプレゼントだった
- 恩返しにと申し出た毎月の仕送りは、両親に断られた
- 「自分のお金の管理はすべて自分で責任を持ちなさい」が、両親からの最後の教育
- 始めたのは投資信託でも外貨預金でもなく、ごく普通の普通預金
- 自分で稼ぐと「なんとなく使う」という選択肢が消える
最初の使い道は、大切な人への感謝
初めての給料を手にしたとき、真っ先に決めていた使い道がありました。
それは、これまで私を支え、学びの場を奪わずにいてくれた両親、そして姉へのプレゼントです。
高価なブランド物ではありませんでしたが、自分の稼いだお金で選んだ贈り物を手渡したとき、ようやく一人前の大人への扉を叩いたような、誇らしい気持ちになりました。
親に断られた「毎月の仕送り」
学生時代、多額の学費や下宿代を出してもらった恩返しを少しでもしたいと思い、私は両親に「毎月、数万円ずつ家計に入れたい」と申し出ました。
しかし、両親の答えは意外なものでした。
「そのお金は受け取れません。これからは、自分のお金の管理はすべて自分で責任を持ってしなさい」
親に甘えるのではなく、自分で考え、自分で守り、自分で育てていく。それが本当の意味での親離れなのだと諭された気がしました。
あえてお金を受け取らないことで、両親は私に「自立」という最後の教育を授けてくれたのです。
職場指定の銀行口座と、普通預金の積み上げ
就職を機に、職場指定の銀行で新しく口座を開設しました。ここが、私の社会人としての資産運用のスタート地点です。
最初は投資信託でも外貨預金でもなく、ごく普通の「普通預金」からのスタートでした。給料日になると数字が増え、お金が少しずつ、でも確実に積み上がっていく。
かつて保育園児だった私が、貯金箱に小銭を貯めていたあの頃と同じワクワク感が、銀行の通帳という舞台に変わって再燃しました。
「大切に使おう」という本物の自覚
自分で稼ぐようになって、お金に対する感覚がさらに研ぎ澄まされました。
16万円という金額を得るために、どれだけの時間と労力を使い、頭を悩ませて働いたか。その実感を伴うことで、「なんとなく使う」という選択肢は自然と消えていきました。
100円、1000円を使うときにも、「これは本当にあの苦労に見合う価値があるか?」と自問自答する。
それはケチになるということではなく、自分の人生(時間)を大切にするという自覚そのものでした。
資産運用の「第一歩」は口座の数字を見つめること
多くの投資家が語るように、資産運用の基本は「入金力」と「管理」です。
社会人1年目の私は、まだ投資の知識こそありませんでしたが、「稼いだお金を大切に口座に積み上げていく」という最も基本的な、そして最も重要な一歩を踏み出していました。
この小さな積み上げが、やがて私を「投資」へと連れ出してくれることになります。
社会人1年目にやっておきたい3つのこと
投資の知識がなくても、始められることがあります。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 給与口座の残高を毎月見る | 増減の理由を説明できるようになると、家計の全体像がつかめます |
| 「なんとなく使う」をやめる | 稼ぐのに要した時間に見合うかを一度考えるだけで、支出は変わります |
| まず普通預金で積み上げる | 投資の前に、生活を守る現金があること。私もここから始めました |
焦って商品を選ぶ必要はありません。口座の数字と向き合う習慣ができてから、次の段階へ進んでも遅くありません。
よくある質問
Q. 初任給の使い道でおすすめはありますか?
私は両親と姉へのプレゼントに使いました。金額は大きくありませんでしたが、自分で稼いだお金で誰かに贈るという経験そのものに意味がありました。貯蓄を始めるのは翌月からでも間に合います。
Q. 社会人1年目から投資を始めるべきですか?
私は普通預金からのスタートでした。まず生活を守る現金を確保し、収支の感覚をつかむことが先だと考えています。焦って商品を選ぶより、入金の習慣を作るほうが後々効いてきます。
Q. 実家に生活費を入れるべきでしょうか?
家庭ごとの事情によります。私の場合は申し出を断られ、「自分のお金は自分で管理しなさい」と言われました。お金を渡すことだけが恩返しではないという考え方もあると思います。
Q. 給与振込口座は職場指定のもので構いませんか?
私は職場指定の銀行で開設し、そこが資産形成のスタート地点になりました。どこの口座かより、残高を自分で把握しているかどうかのほうが重要だと感じています。
まとめ:積み上げる習慣が、次の段階へ連れて行く
初任給16万円。決して多くはない金額でしたが、そこには両親から受け取った「自立」という教えと、自分で稼いだお金への実感が詰まっていました。
投資を始める前に必要なのは、知識ではなく積み上げる習慣です。 通帳の数字が確実に増えていく感覚を知ったことが、後の資産運用へとつながっていきました。
次回予告|次回は、初めてのボーナスの使い道です。30年前の銀行を賑わせた「定期預金キャンペーン」と、私を動かしたノベルティの話をお届けします。
※本記事は個人の経験に基づく内容であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。


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